12月出版 "Amintiri din tinerețe" 序文・その1

 私のルーマニア語の先生、関口コルネリア先生から序文を書いていただきました。長い序文なので抜粋してその一部を紹介します。(ルーマニア語翻訳:佐藤芳則)


序文・『青春の思い出』出版に寄せて

 東京外国語大学の教室で鈴木信吾先生の『カラジアーレを読もう』という講座が開かれており、その講座では『失われた手紙』が講読されていました。私はこの講座に月に一度解釈のアドバイスをするために招かれていました。

 教室ではルーマニア語やルーマニア文化に興味を抱く多くの人々が鈴木先生と一緒に講座の開始を待っていました。私たちは自己紹介をし、少し話しました。そして私は受講者と鈴木先生の間の一番前の席に座りました。
 みんなで戯曲の文を一文ずつ読み始めました。文法的な分析を加えながら日本語に翻訳するのです。私は学生たちがそれぞれの句を解釈したり説明したりする熱意と正確さに驚きながらもうれしくなりました。彼らは二回ほど私のアドバイスを必要としただけでした。鈴木先生は文法や語彙に関する諸問題について明確にかつ系統的に説明する術を持ち合わせていたからです。 

 そのうちに、ちょうど私の背後に座っていた男性に、特に私の注意が引きつけられました。私はあまりよく彼を見ることができませんでしたが、彼がカラジアーレの文章を豊かに読み味わう様子がはっきりと聞こえました。彼はどの文も間違うことなく翻訳しました。それは佐藤芳則さんでした。彼は毎回尋ねたい追加の質問を持っていました。私は一時間半の間、振り返り首を回して彼の声を聞いていました。そして私を少しばかり混乱させた質問内容と彼の性格の現れをよく知りたいという願望に夢中になりました。 

 講義を終えた後、ほかの受講者たちと一緒に多磨駅に戻り、武蔵境駅に向かう電車の中で、私は彼についてもっと多くのことを知りました。みんなも私のことを知りたいと興味津々で私を質問攻めにしました。こうして私は『青春の思い出』の著者である佐藤芳則さんを知ることとなりました。現在は退職している元日本語教師、ルーマニア語、ルーマニア文化に情熱を注ぐ佐藤さんを。 

ルーマニア館

遥かなる東欧の国ルーマニアに魅せられた私の館『ルーマニア館』は『ルーマニア愛満載館』です。

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