第1回ルーマニア旅行の思い出・その16

ビデラル湖にて 2005.8.4

 クルテア・デ•アルジェシュの教会を後にして再び車が走り出しました。そしてしばらくすると渓谷の山道にさしかかりました。なおもしばらく走ると、切り立った断崖のてっぺんにお城が見えてきました。串刺し公と異名を取るヴラド・ツェペシュ公の居城なのだそうです。残虐な王と評された彼は人に信を置くことができずに、このように峻厳な山頂に城を構えて孤独に生きたのでしょうか。


 14時50分、ビデラル湖に到着。そこで車を止め、新鮮な空気を胸いっぱいに吸いました。そして、湖をバックにたくさん写真を撮りました。辺りには観光客やサイクリングを楽しむ人々が数多くいました。ここで小一時間ほどくつろいでからレストランに入って昼食を食べました。私はポーク料理にしました。

 外はまた雨が降り出しました。私はまるでアリンの涙雨のようだと思いました。アリンはミキを好いているのに、ミキの心は一向にアリンになびかないのですから、アリンは切なくてたまらないのです。私はアリンに言いました。「あなたにはとても感謝しています。ここまでいったい何キロ走ったものでしょう。」するとアリンは「もうすぐ850キロ走るところです。」と答えました。「あなたの助けで私はとても快適な旅ができました。そのお礼がしたいのです。」私がそう言うと、彼はきっぱりとそれを断って、「私と約束してほしい。」と言いました。「今度あなたがルーマニアに来るときは、きっとあなたの奥さんと一緒に来てください。そして、私に必ず連絡してください。私がお二人を案内しますから。また、私が日本に旅行したときは、その時には、どうか必ず私に会ってください。」彼はそう言って私の旅のノートにルーマニア語でこう書きました。

「ルーマニアの思い出:レストラン『魚のいる谷』にて。あなたの友アリンより。」

そして末尾に、彼は自分の電話番号を書き添えました。  

ルーマニア館

遥かなる東欧の国ルーマニアに魅せられた私の館『ルーマニア館』は『ルーマニア愛満載館』です。

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