2021.10.24 00:27アマリネイ氏と読む日本の俳句(7)正岡子規の詠んだ秋の俳句 ともし火の 見えて紅葉の 奥深しこの俳句のルーマニア語への翻訳はネクライ・アマリネイ氏によるものです。Haiku de toamnă al lui Masaoka Shiki luminiApar prin roșul intens alfrunzelor de toamnă(tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)「ともし火」は人家の灯りでしょうか、電柱の灯りでしょうか。その灯りに照らされて濃い闇の中に紅葉が浮かび上がってくる様子です。「紅葉の奥深し」は紅葉の景色の広がりを表したものでしょう。絵画的で美しい句です。ネクライ氏は「秋の葉の赤い広がりを通して明かりが現れ...
2021.10.22 00:45アマリネイ氏と読む日本の俳句(6)正岡子規の詠んだ秋の俳句 行く秋や 手を引きあひし 松二木この俳句のルーマニア語への翻訳はネクライ・アマリネイ氏によるものです。Haiku de toamnă al lui Masaoka Shikitoamna pleacădoi pini și-au unitramurile(tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)ここに描かれている松は県の天然記念物に指定されたほどの名木で、郷里の象徴でもあったそうです。二本の松が手を引き合うようにH状に枝を絡めているところから地元では「手引きの松」と呼ばれて慕われていましたが、マツクイムシにやられてしまい、現在は松の一部分だけが保存されているそうです。その松の木...
2021.10.21 01:28アマリネイ氏と読む日本の俳句(5)正岡子規の詠んだ秋の俳句 木に倚れば 枝葉まばらに 星月夜この俳句のルーマニア語への翻訳はネクライ・アマリネイ氏によるものです。Haiku de toamnă al lui Masaoka Shiki rezemat de copacprintre crengi și frunze rare -noaptea înstelată(tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)明治29年、子規29歳の時の作。この頃子規は親しい人々を招いて句会を開くことを唯一の楽しみにしていました。この年も病気の身でありながら旺盛な創作意欲を示し、多くの俳句をものしています。初句は作者の様子、中句は中庭の様子でしょうか...
2021.10.20 00:32アマリネイ氏と読む日本の俳句(4)正岡子規の詠んだ秋の俳句 飛んで来る 余所の落ち葉や 暮るる秋Haiku de toamnă al lui Masaoka Shiki vin în zborfrunze moarte de nicăieri sfârșit de toamnă(tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)療養中の子規は外出することも多くありませんでした。この句は隣家からハラハラ落ちてくる落ち葉を見て初めて秋の深まりを実感したという感慨を詠んでいます。とても平明で分かり易い作品です。子規は俳句の革新と短歌の革新に心血を注いだ人ですが、晩年は「写生」の重要性を唱え実践しました。病床にあった子規にとっては自分...
2021.10.19 01:25アマリネイ氏と読む日本の俳句(3)正岡子規の詠んだ秋の俳句 行く我に とゞまる汝に 秋二つHaiku de toamnă al lui Masaoka Shiki am plecatai rămas -două toamne(tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)この句の詠まれた背景も前句と同様です。「行く我」は子規自身を、「とゞまる汝(なれ)」は夏目漱石を指しています。当時漱石は松山の尋常中学校で教師をしていました。そのとき生まれたのが名作「坊ちゃん」です。病気療養中の子規の面倒を見つつ、二人は52日間共同生活をしますが、やがて子規は上京を決意します。「東京へと旅立つ自分と、松山にとどまる君と、境遇は違ってしまうが、それぞ...
2021.10.18 02:48アマリネイ氏と読む日本の俳句(2)塩汲みの 道々月を こぼしけり(正岡子規)Haiku de toamnă al lui Masaoka ShikiScoțind apa din mareluna se varsăpe drum (tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)月は秋の季語です。美しい月夜に海水を汲みに出かけた人が家に帰っていく場面です。汲んだ海水はバケツに入れて手に持っているのでしょうか、天秤棒にぶら下げているのでしょうか。一歩踏み出す毎に入れ物が揺れ、水がこぼれます。水をこぼしてしまうのですが、それを「月をこぼし」たと表現したところに、この作品のおもしろさがあります。歩くたびにバケツが揺れて水面に映っている月が壊れ、水と一...
2021.10.16 23:21アマリネイ氏と読む日本の俳句(1)松山や 秋より高き 天守閣(正岡子規)Haiku de toamă al lui Masaoka Shiki Matsuyama - deasupra cerului de toamnăse ridică donjonul castelului (tradus de domnul Neculai Amălinei)(コメント)松山城は伊予の国(現在の愛媛県)勝山の山頂にそびえる名城で、金亀城、勝山城という別称もあります。日本晴れの秋空はどこまでも高く澄み渡っていますが、松山城の天守閣はその秋空にも負けないくらいに高くそびえていると言うのです。「空より高く」と言わずに「秋より高く」と詠んだ着想が巧みです。(写...
2021.10.11 02:01パンフルートとの出会い パンフルートは古代から南米、ヨーロッパ、アジアなど世界各地に存在していたと言われています。ギリシャ神話に登場する牧神パーンが吹いたという伝説からその名がついたとも言われています。シルクロードを通って中国に伝わり、更に奈良時代には中国から日本にも伝来し、排簫と呼ばれて宮廷で演奏されていたそうです。 ルーマニアではナイと呼ばれ、民族楽器として長く伝えられてきましたが、20世紀にナイ奏者ゲオルゲ・ザンフィル氏が登場したことによって、パンフルートの魅力は世界中に広まりました。 私がパンフルートに身近に出会ったのは、2018年3月3日のことです。その日ルーマニア大使館では春の到来を祝うマルチショルのイベントが行われていました。そのイベントにゲストとして招かれて...
2021.10.08 05:36ネクライ・アマリネイ氏のこと ネクライ・アマリネイ氏からメッセンジャーで初めてコンタクトがあったのは2019年9月のことでした。彼は私のフェイスブックを見て、私がどうやらいくらかルーマニア語を理解し、国文学にも通じているらしいと踏んだようでした。 彼の最初の依頼はビデオ付きの日本語テキストを紹介してほしいということでした。そのことがきっかけで私たちはその後メールを交換し合う間柄になりました。 ネクライ氏はルーマニアの古都ヤシ在住の学者です。ヤシは第三回ルーマニア旅行の際立ち寄った町で、国民的詩人ミハイ・エミネスクの銅像の前で私は写真を撮った思い出があります。 実は私が使っている『日本語ルーマニア語辞典』の著者がネクライ氏であることに私は彼と知り合った後に知りました。彼は日本語研究...
2021.10.07 03:27アルペンホルン=ブチューム(Bucium) アルペンホルン(アルプスホルン)と呼ばれる楽器を見たことがありますか?アルプス地方やルーマニア、ポーランドの山間地に伝わる原始的なホルンで、ルーマニアではブチューム(Bucium)と呼ばれているそうです。羊飼いや牛飼いたちが羊や牛の群れを呼び集めたり、遠くから呼び交わしたりするのに用いたものだそうで、長いものは2メートルほどもあるそうですよ。高原に鳴り響く牧歌的なホルンの音色はたまらなく魅力的です。
2021.10.07 01:25武蔵野・ブラショフ市民の会 武蔵野市には「武蔵野・ブラショフ市民の会」と称する会があり、私もその会員になっています。この会は武蔵野市とルーマニア・ブラショフ市の市民交流を通じ、相互の文化理解と友好親善を図ることを目的に掲げて活動しています。1992年10月に設立され、今年で29年の歴史を数えます。 この会の一番大きなイベントはブラショフからの研修生招聘事業です。これは夏休みに一名(原則)の研修生を招き、ホームステイでお世話し、1ヶ月間日本文化を体験してもらうというものです。茶道、生花、着付け、盆踊り、書道、能・歌舞伎など盛りだくさんのプログラムが準備されます。京都、奈良、富士山、鎌倉などへの旅行や遠足も実施しています。写真は2019年の研修生オティリアさんと宝登山への登山に出か...
2021.10.06 09:43レストラン「ルーマニアキッチン M & Y 」 朝霞市にお洒落なルーマニアンレストランがあるのをご存知ですか?西武池袋線朝霞駅南口から徒歩5分の場所にお店があります。 店主はモニカさん。気さくな人柄でお客様に慕われています。 ランチセットは七種類のメイン料理の中から一品と野菜サラダ、フライドポテト、パンまたはライス、コーヒーまたはドリンクがついて税込千円。ライスとコーヒーはお代わりができます。 メイン料理はルーマニアの伝統的な料理であるパプリカの肉詰め、ロールキャベツととてもよく似たサルマーレ、トキトゥーラのほか、ポーク、チキン、魚、ラザニアがあり、どれを食べても大満足できます。デザートにはパパナシと呼ばれるケーキがお薦め。夕方にはルーマニアワインを楽しみながらお食事することもできます。 みなさん...